2010年 新春企画
異なるスピーカによるステレオ再生
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プロローグ
異なる品番で全く音が違うスピーカ・システムは、可聴帯域の20Hz〜20Hzが再生できないばかりか、ダイナミックレンジは60dBにも満たないしろものです。アンプは真空管の昔から周波数に対するレベル偏差±3dB以内、歪み3%以下と言われていました。なぜかスピーカだけ例外のような有様です。たいしたハードルではないと思いますが未だに改善されていません。サボってんじゃないよと突っ込みを入れたくなります。
ごくわずかの例外を除けば、マルチウェイはスピーカ・ユニットが同一平面バフルに取り付けられています。できる範囲でグライド・トーンによる周波数特性はフラットに装っていますが位相(時間)特性が考慮されていないのです。結果、異なる品番のスピーカでステレオ・ペアはおろか5.1chが組めないほど音が違います。
ちゃんとした音を求めて2ウェイ・スピーカ・システムとプロトタイプのMFBドライブによるシングルコーン・スピーカが形になっています。うまくいっていれば、これらの異なる方式のスピーカ・システムでステレオ・ペアが成り立つはずです。
2ウェイ・スピーカ・システム
波形再現を目指して、特製バフルと最適型ネットワークで構成した2ウェイスピーカ・システムです。ウーファユニットはMAX/MF130-75L4型、トィータはSCANSPEAK/D30型、クロスオーバ周波数は1.28kHzです。最低共振周波数以下で低ひずみでレベル低下が少ない低音ポートを装備した船形エンクロージャに組み付けています。
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2ウェイ・スピーカ・システム named as BrewPC#003evo |
低音ポートは振動を排除する強固な構造でレゾナンス周波数は25Hzです。インピーダンス・カーブからわかるように、第1反共振周波数は20Hz以下となりパイプオルガンのファンダメンタルまでレスポンスします。
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2ウェイ・スピーカ・システムの総合インピーダンス特性 |
最低共振周波数以下でひずみが激増する密閉型エンクロージャと比してポート周波数近傍まで低ひずみでレベル低下もおだやかです。中高域も硬質アルミ・ウーファリングによりアンプ並みに低ひずみです。
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2ウェイ・スピーカ・システムの周波数VSひずみ率特性 |
特製バフルとに最適型ネットワークによって厳密な時間あわせを施した結果、1.28kHzのクロスオーバ周波数はもちろん広い帯域で良好な波形応答特性が得られています。「もし、理想的なシングルコーンスピーカがあれば」を彷彿とさせてくれます。
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単発サイン波応答特性 |
グラフィックイコライザ
周波数特性を補正するツールですが使い方が分からないのか的外れな解説をする記事すら見かける昨今です。プロの世界以外では製品を見かけることが少なくなっています。ローランドのグラフィック・イコライザRGE-231型により広い周波数範囲で±3dB以内とフラットにチューニングしています。
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ローランド、グラフィック・イコライザRGE-231型 |
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RGE-231型で補正した2ウェイ・スピーカ・システムの周波数特性例 |
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グラフィック・イコライザで補正した単発サイン波応答特性例 |
補正した2ウェイ・スピーカ・システムの音
ウーファとトィータの時間軸を合わせ込むことで、パルシブな楽器のアタックや左右上下前後360度の空間に広がる環境音、最低可聴限界まで帯域を広げたチューニング・ポートでアコースティック・インストゥルメントが持つ細やかさや艶やかさまで再生することができるようになっていますが、更に、グラフィック・イコライザで超低域を補正することで、パイプオルガンをはじめとした低音楽器のファンダメンタルや楽器の機構音や音楽ソースに含まれる空調音などのノイズまでプロポーショナルに再生できるようになっています。中域を細かく補正することでスピーカ設置場所の影響が軽減され定位がシャープになり楽器の配置がより明確になります。
異種スピーカによるステレオ再生
異なる方式のスピーカを、異なる駆動方式でドライブしてステレオを構成しました。左チャンネルは上記のグラフィック・イコライザで補正した2ウェイを、右チャネルはプロトタイプのMFBドライブ・スフェリカルエンクロージャのシングルコーンです。
異なる駆動方式の異なるスピーカ・システムですが、物理特性のうち周波数特性、単発サイン波特性、位相特性が揃ったことでファントム・チャネルが定位するステレオ再生が可能になることがわかりました。
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左ch:補正コンベンショナル2ウェイ、右chMFBシングルコーン |
おのおのの位相特性を掲げます。広い範囲で相対的に位相差が少ないことがわかるかと思います。
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位相特性 上 MFBシングルコーン 下 補正コンベンショナル2ウェイ |
エピローグ
では音は同じか?似てはいますがやはり違います。
MFBドライブによるスフェリカル・シングル・コーンは低域再生限界がなく、小信号時のリニアリティに優れ、反応が速く、音が消え入る様や、透明さ、ふわっと音に包まれるような目の前で演奏しているかのようなみずみずしさが勝ります。
こっちが優れているかな?と思えても聞き比べるとやっぱりこっちかな?ちゃんとした音にたどり着けた気がしましたが、そう簡単にはのようです。まだまだ遊べそうです。そんなわけで
本年もよろしくお願いします。
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