2010' 3 / 7

SCAN SPEAK 23W5771Tは30cm角の超小型エンクロージャで33Hzまで再生するとされています。今までなら小躍りするほどの性能なのですが・・・・・

ダイナミック・スピーカのフラットな周波数特性は、エンクロージャに組み込んだダイアフラムの共振によりもたらされるものなのです。ダイアフラムは信号に忠実に動いていないのです。

それらしい音しかしないのです。アンプで制動されることはありえないのです。

評価用ウーファ・エンクロージ

低音設計を電気的に行うことでエンクロージャのサイズに制約がなくなります。エンクロージャは小さければ小さいほど有利です。材料費の総額が低く製作も容易といいことづくめです。ECOでもあります。

小型エンクロージャのメリット
・エンクロージャの鋼性が高く、高S/Nが期待できる
・内部定在波の周波数がが高く除去可能
バフル面積が小さい(回析周波数が高い)
・配置の制約がなくベストの配置が可能

バフル板はスピーカユニットが取り付けられるぎりぎりの大きさ、270mmx270mmとして、MG100HR-S型を組み込んだスフェリカル・スピーカをセンターに置いたときタイムアライメントが合うように奥行きを320mmとしました。板厚を21mmとし4辺を45度でカットすることで接着幅が30mmとなり強固な構造が期待できます。

カット図面

板材加工

材料の入手と加工はいつもの東急ハンズ工房にお願いしました。1mm以下の精度はでないとのことですが、いつもながらの素晴らしく高精度な仕上がりです。直方体の4辺12稜がぴたっと合います。

4辺を45度カットした左右2本分の板材(シナベニア)

コーナクランプが使えない!

コーナクランプでコーナを正確に90度で接合しようとしたところ、45度の斜めの木口にかかりません。行き詰っちゃいました。どうしよう・・・・・・・。

コーナクランプがかからない!

接着

ずれないように側板4枚を養生テープで連結してから接合面に接着剤を塗り4角に折りたたむことで作れそうです。やってみたところ接着中のずれがなく高精度に組みあがりました。接着中はベルトで縛りテンションをかけています。

表側を養生テープで連結

タイト・ボンドを塗布して

バンドで圧着

組みあがり

塗装

防汚に簡易塗装を施します。見切りを木工パテで埋めて400番のサンドペーパ掛けをして「つやあり」のシリコン・ラッカースプレイで3回重ね塗りしています。

吸音材

ほぼ立方体に近い形なので750Hzに強い定在波が立ちます。この定在波を完璧に除去できる吸音材を東急ハンズで見つけたので実現した形です。吸音材は、「ホワイト・キューオン」(30kg/m3)、100mm厚のとき、ほぼ100%吸音する性能があります。対向面で100mmとなるよう側板に沿って50mm厚でたっぷりと充填します。

ホワイト・キューオン

インピーダンス測定

ブリッジ検出型で対象となる逆起電圧、すなわちインピーダンスの差を見るためエンクロージャ組み付け前と後とでインピーダンス特性を測定しています。黒のソリッドカーブがフリーエア、赤のソリッドラインがエンクロージャに組み込んだインピーダンスカーブです。吸音材を充填しているため中域に定在波のリアクションである凸凹がないことが分かります。

最低共振周波数は26Hz⇒42Hzに上昇し、極大点のインピーダンスが下がっています。これは逆起電圧が減少すること、十分ではありませんがダイアフラムの共振が制御されたことを意味します。

高域のインピーダンス上昇はボイスコイル固有のインダクタンスによるものとされていますが、実際には変化が見られます。

これらのインピーダンス特性は、ドライブ手法によっては周波数特性に影響が大きく音質にインパクトを与えます。

組み付け前後でインピーダンス変化を測定

 

周波数特性

推奨よりも小さな容積にした結果Qtsが1.15と高くなり最低共振周波数でピークがでます。750Hzの定在波が立っていないことも分かります。

測定の模様

 

ガスケット

ダイアフラムの事故防止にガスケットを装着できる構造としました。

ガスケットを装着

 

モーショナル信号・周波数特性

MFBドライブ設計の基礎データにするため、ブリッジ検出回路を作り変えてモーショナル信号を観測してみました。黒のソリッドラインはエンクロージャに収めたままを、赤のソリッドラインは高域の固有インダクタンスをキャンセルしたモーショナル信号の周波数特性です。

ブリッジ検出によるモーショナル信号の周波数特性

暫定低音設計

第8回BSNミニ視聴会への出展を明日に控えて、ローランドRGE231型31バンドグラフィックイコライザで低域は20Hz〜1kHzをフラットに、それ以上の高域を下げてウーファとして望ましい周波数特性に電気的に補正しました。

RGE231型での補正設定