千竃(チカマ式)MFBスピーカと、ブリッジを最適化することにより広いMFB帯域拡大と高い制動効果が得られるオプティマイズド・ブリッジTMと比較をしてみた。

チカマ式MFBスピーカ

実験回路

チカマ式と従来のブリッジ式、オプティマイズド・ブリッジ式のそれぞれのモーショナル信号比較に実験回路を作成した。ブリッジ式の調整は、SWITCHをDC BAL側に倒してBRIDGE OUTPUTの端子をオシロスコープを見ながら0VになるようにVR8を調節する。

オペアンプはオープン・ループ・ゲイン80dBのDMOSパワーアンプ、STマイクロのTDA7294を選んだ。その他のデバイスに、 モーショナル信号検出抵抗がJantzen10W無誘導巻線、抵抗は「進」、シグナル・カプリングにメタライズド・フィルム、電源はニチコンミューズFG、ブリッジバランスには信頼性からの高さからコパルのポテンショメータを選んだ。

周波数特性評価はMyspeakerとローランドUA-101オーディオキャプチャを44.1kHzサンプリングで使用し た。

実験回路

チカマ式モーショナル信号 (COIL OUTPUT)

チカマ式モーショナル信号は評価回路のSWITCHをTEST側にして行う。MFB SP(SEAS)のボイスコイル印加電圧をSPEAKER DRIVE端子から、チカマ式モーショナル信号をCOIL OUTPUTからそれぞれ測定する。

チカマ式MFBスピーカ・ユニットの入力が赤の実線で、モーショナル信号出力が黒の実線だ。MFB帯域は2〜3kHz程度だ。

チカマ式モーショナル信号

従来のブリッジ式モーショナル信号 (BRIDGE OUTPUT)

従来のブリッジ式は測定はSWITCHをTESTに倒して印加信号をSPEAKER DRIVE端子からブリッジ式モーショナル信号をBRIDGE OUTPUTからそれぞれ測定する

ブリッジ検出回路の入力が赤の実線で、出力が黒の実線だ。最低共振周波数の形状が異なり、 モーショナル信号としては400Hz程度までといえる。サブウーファがせいぜいなんて言われちゃう理由だ。

ブリッジ式モーショナル信号

インピーダンス特性

これは高域で上昇するスピーカのインピーダンスが支配的になった結果の影響だ。この高域の上昇はボイスコイルのインダクタンス分によるものとされる。

このインダクタンス分をキャンセルする手法としてネットワークの設計書にはCR一次のネットワーク がよく知られている。

ボイスコイル・インピーダンス特性

CRネットワーク定数

インダクタンス分キャンセルCR一次補正ネットワークの最適値は簡単に求めることが出来る。

LCRメータで初期値インピーダンス(7.10Ω)とインダクタンス(0.300mH)を求めたら、対応するそれぞれの値を変えて高域のインピーダンス特性 がフラットになるようフィッティングする。

こうして求めた補正ネットワーク定数は8.4Ωと11.5uFだ。高域のインピーダンスがフラットになる。

パラメータ測定

 

フィッティング中

 

ボイスコイルのインダクタンス分をキャンセル

オプティマイズド・ブリッジTM式モーショナル信号

従来のブリッジに、高域インピーダンスがフラットになるようなオプティマイザ(Optimizer)を追加したモーショナル信号だ。オプティマイズド・ブリッTMと命名しよう。

最低共振周波数近傍のカーブの形状は同じになり、帯域がぐんと広がり、中域のエッジ共振やダイアフラム共振が抽出できている様子がわかる。

オプティマイズド・ブリッジTM

オプティマイズド・ブリッジTMモーショナル信号

 

チカマ式とオプティマイズド・ブリッジTMとの比較

千竃(チカマ)式モーショナル信号とオプティマイズド・ブリッジTMのモーショナル信号を最低共振周波数でレベル正規化して重ねたチャートだ 。MFB帯域はコンパラブルだ 。

千竃(チカマ)式とオプティマイズド・ブリッジTMのモーショナル信号

モーショナル信号波形

SPEAKER DRIVEをCH1に、COIL OUTとBRIDGE OUTをCH2(黄色の矢印)にした波形だ。CH1とCH2はモーショナル信号そのもので逆位相であることがわかる。逆起電力といわれるゆえんだ。写真から明らかなようにチカマ式とオプティマイズド・ブリッジTMで違いはない。

チカマ式モーショナル信号波形

オプティマイズド・ブリッジTM式モーショナル信号 波形

MFB効果

オプティマイズド・ブリッジTMで 結線を変更してMFBをかけて効果を確認してみた。

ダイアフラムを指で押すとムニューっと押し返すようなMFB特有のリアクションが得られる。

コイル出力の単発サイン波データで、20Hzから1.8kHzまでダイアフラムが正確に制御されていることがわかる。実用帯域は2〜3kHz程度だ。

オプティマイズド・ブリッジTMMFBによって広い周波数帯域でMFB効果が得られることが分かった。スピーカを改造することなく従来のブリッジ式MFBにわずか数点の部品の追加で同じ効果が得られることは朗報と言える。

オプティマイズド・ブリッジTMMFBでも 高い制動効果が得られる

つづく