2010'12/18

ピストンモーション帯域は入力信号に忠実に応答しているものと疑わなかったのだが、ダイアフラム系の共振、逆起電力が示す最低共振周波数 におけるインピーダンス上昇から明らかなようにダイアフラムは 入力信号に忠実に応答していないのだ。パッシブドライブする現代のダイナミック・スピーカは可聴帯域よりずっと狭い受け持ち帯域ですら満足に動作していない代物だったのだ。

唯一と思われる改善手段であるMFBドライブによりダイアフラムが印加信号に忠実に応答することにより何が改善されるのかを聴いてみたくなってMFBスピーカ・ユニットをエンクロージャに組み込むことにした。「コンベンショナル・ドライブした音」と「MFBドライブした音」を比べてみる。

純粋に音 の評価をするためにはダイアフラム以外一切余計な音がしない仕掛けが必要だ。鳴きの少ない強固なエンクロージャとエンクロージャにダイアフラムからのリアクションを吸収して伝えないカウンタウェイト(デッドマス)が不可欠だ。幸いMFBスピーカユニットは分厚いセラミックが接着され ていて1.66kgある。MFBコイルの質量は不明だがダイアフラムの倍近くても重量比は150倍以上と十分だ。

MFBスピーカユニット (SEAS W11CY-001改)

SEAS W11CY-001オリジナル特性

MFBコイルがSEAS W11CY-001型ウーファのセンターに組み込まれている。ダイアフラムセンターなので影響が少ないとされるのだが、本当だろうか?

SEAS W11CY-1

 推奨周波数帯域  45-4000Hz  公称インピーダンス  8Ω
 瞬間最大入力電力  200W  直流抵抗  5.6Ω
 連続最大入力電力  75W  等価インダクタンス  0.32mH
 能率(1W,1m)  86W  ダイアフラム等価質量  5.5g
 Xcur リニア(最大)  6mm(9mm)  ダイアフラム有効半径  3.9cm

 2.5リッター密閉箱(軸上100cm)

予備実験

5リッタと倍の容量だが手持ちのエンクロージャに取り付けて軸上10cmの周波数特性と スケールを合わせて比較してみた。低域は同じユニットとは思えないほど伸びていて倍の容積とMFBコイルによるダイアフラムの質量増加の影響と思われる。中域は問題で別物といえるほど周波数特性が大きく異なっている。センターであってもダイアフラム上の構造物は望ましく無いといえる。

5リッタ密閉エンクロージャ

MFBコイル付W11CY-001(軸上10cm)

オリジナル vs MFBコイル付

評価用エンクロージャ

メーカデータと比較しやすいように内容積は同じ2.5リッタとした。強固な構造とするためシナベニア材の板厚24mmとし、接合面を全て45度カットすることで接着強度をかせいでいる。カットは東急ハンズ横浜西口店にお願いした。いつもながらの見事な仕上がりだ。

カット図

接着、塗装

正確に位置決め、ずれないよう養生テープで連結し、接着は肉やせがないタイトボンドで丸1日かけベルトで圧着した。下地処理としてパテ埋め、番手を上げながら丁寧にサンドペーパ がけしすべすべにした。

塗装は強固な塗膜の油性のシリコンラッカーを使い、下塗り後十分乾燥させてから400#サンドペーパーで2度研ぎ出しし、仕上げは3層の重ね塗りとし た。

テープで連結

ベルトで締め付けて接着

目止め〜サンドペーパーかけ

油性シリコンラッカー仕上げ

構成部品

箱型 エンクロージャなので内部並行面により定在波が生じる。内寸は幅100mm、奥行き126mm、高さ200mmなので定在波の基本周波数はそれぞれ1.72kHz、1.36kHz、860Hzとなる。レベルは大きくないものの 吸音材無しでは鋭いピークを示す固有の音が付きまとう。850Hz以上でほぼ100%と理想的な吸音特性の「ホワイトキューオン」を充填し対策している。また、スピーカ取り付け面のエアー・シール用ガスケットは0.5mm厚のラバーシートから切り出した。

構成部品

組み込み

スピーカユニットは4mmφのアレン・ステンレス・ボルトとケプ・スナットで取り付けている。ターミナルはMFB信号の品質確保とワンタッチで接続できる利便性からキヤノン4Pとした。

評価用MFBスピーカ