2011年 新春企画
聴き比べ
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SSC(サウンド・ステージ・コンダクタ)を導入しスピーカを吟味することで、今まで望んでも決して得られかった理想的な周波数特性と群遅延特性がリスニングルームで得られる。では、これら2つの特性が同じならスピーカ の音は同じになるのだろうか?
比較視聴システム
手間隙かけて周波数特性と位相特性をフラットに調整した2ウェイスピーカと球形のMFBスピーカにScanSpeak 23W/4557T型サブ・ウーファや製作中のMFB検出コイル付SEAS W11CYウーファを加え、これらを組み合わせてSSCでマルチチャネル・システム を構成、リスニングポイントで20Hz〜20kHz可聴帯域全域をフラットに補正する。
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SSC接続図 |
視聴ルーム
7畳和室の短編にSSCシステムを、反対側にソファーを置いてリスニング・ポイントとしている。左右スピーカ間は170cm、スピーカーからリスニングポイントまでは250cmの2等辺三角形だ。測定マイク位置はリスニング・ポイントで耳の高さにしている。
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視聴ルーム |
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耳の位置にマイクを設置 |
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SSCコレクション
評価に影響が大きいため音量レベルは厳密に合わせないといけない。SSCは補正範囲の中にスピーカの裸の特性が収まれば周波数特性と群遅延特性に加えてレベルも正規化される。スピーカ・コレクション・パラメータの周波数20Hz〜22kHz、レベル±12dB範囲に、リスニング・ポイントでのスピーカのアナログ特性が収まるように音量を調整している。正規化レベルは-9dBとした。
製作中のMFBウーファの高域を補正しフル・レンジ並みにして聴いてみたかったためマイク位置をリスニング・ポイントに固定してSSCによるスピーカ補正とルーム補正を同時にかけている。条件をそろえるため他のシステムも同じにし ている。
| Speaker Correction Parameter | |||
| Frequency | Center | -9dB | |
| Upper(Hz) | 22000 | Attenuation | 12dB |
| Lower(Hz) | 20 | Boost | -12dB |
| Room Correction Parameter | |||
| Frequency | Center | -9dB | |
| Upper(Hz) | 20000 | Attenuation | 12dB |
| Lower(Hz) | 20 | Boost | -12dB |
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スピーカの音量を調整してスピーカ・コレクション範囲に設定 |
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ルーム・コレクション |
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Measurement S/N
最高水準といわれるSSCの補正は正確な測定に基づいている。スピーカとマイクの物理的な位置が同じなら再現性良く測定ができるが、ひずみが少ない小音響レベルで正確な測定をするためにはルーム・ノイズ を含む測定系のノイズは無視できない。誤差0.3dB以下に抑えるにはS/N比は12dB以上確保する必要がある。
スピーカ・ユニットのリニアリティの良い小音量で測定するためUA101のマイクアンプ(Mon)を使用し、CH1 SENS MAX、INPUT MINITOR1のスライドバーを+12dB、MONITOR OUTのスライドバーを+12dBとしている。SSCはLevelを最小の-120dBにし て測定を行うとルーム・ノイズを含めた測定系のノイズ・フロアが確認できる。
リスニングポイントに於ける補正後の周波数特性と測定系のノイズを同じチャートに重ね書きしている。最小で20dB以上と十分なS/N比が確保されている。
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周波数特性(赤)とノイズ(濃緑) |
Smoothness
スムースネスの設定は測定、補正ともデフォルトで十分なのだが、メタル・ダイアフラム・スピーカ・ユニット特有の鋭く非線形なピークは補正が困難であるばかりか、スムースネスの値が大きいとこのピークを見落とす可能性がある。測定結果を鵜呑みにせずスムースネスを 動かしてチェックをしておく必要がある。
実例としてサブウーファのScanSpeak 23W/4557T型をSSCで高域まで補正した例だ。Speaker MeasurementのSmoothnessを1にすることでメタル・ダイアフラム固有の鋭く非常に大きなピークを見つけることができる。
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スピーカ測定:スムースネスを1にすることで7kHz近辺の鋭い大きなピークが分かる |
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補正チャートをデフォルトのスムースネス10ままだと周波数特性は問題ないように見えるので要注意だ。
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補正するとフルレンジでも使えそうだが・・・ (Smoothness 10) |
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スムースネスを小さくすることで7kHzのピークが残っていることが分かる。フルレンジで使うとこの強烈な癖が付きまといソースの音が変わってしまう。
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スムースネスを変えるとピークが分かる (Smoothness 1) |
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高域をトィータに受け持たせクロス周波数を1500Hz、スロープー120dB/octで2chマルチ・チャネルの例だ。スムースネスを1にしても固有のピークが ない好ましい特性だ。
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高域にトィータとすることでスムースネスを小さくしても特有のピークが見られない |
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エントリー
#1 球形MFBフルレンジ
スフェリカルエンクロージャに組み込んだフォステクスMG100HR-S/MFBドライブでイコライザのカットオフ25Hzとしたシングルスピーカ。20Hz〜20kHzでフラット なスピーカだがリスニングポイントではリスニングルームの特性で大幅に乱れている。SSCにより20Hz〜20kHzの可聴帯域全域で両ch±3dBと最上の周波数特性が得られていることがわかる。
| リスニングポイントでの補正前の周波数特性(Lch) | |
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リスニングポイントでのSSC補正カーブと補正後の周波数特性 |
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Lch実特性 |
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Rch実特性 |
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#2 2chマルチ(サブウーファ+球形MFBトィータ)
低域のダイナミックレンジを拡大するためにScanSpeak 23W/4557Tパッシブドライブのサブウーファュを加えた2chマルチ・システム。クロス200Hz、スロープ-120dB/octとしている。
| リスニングポイントでの補正前の周波数特性(Lch) | |
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リスニングポイントでのSSC補正カーブと補正後の周波数特性 |
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Lch実特性 |
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Rch実特性 |
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#3 3chマルチ(サブウーファ+球形MFBスコーカ+トィータ)
更にScanSpeak D30トィータを加えた3chマルチ・システム。クロス200Hz、5kHz、スロープ-120dB/octとしている。
| リスニングポイントでの補正前の周波数特性(Lch) | |
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リスニングポイントでのSSC補正カーブと補正後の周波数特性 |
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Lch実特性 |
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Rch実特性 |
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#4 舟形エンクロージャ2ウェイ
25Hz超低音ポートを備えた舟形エンクロージャに大口径ボイスコイルを備えたMAX MF130-75L4とシルクドームのScanSpeak D30を最適型ネットワークで構成した2ウェイ・パッシブドライブ。シングルコーン同様の波形再現性を備える。
| リスニングポイントでの補正前の周波数特性(Lch) | |
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リスニングポイントでのSSC補正カーブと補正後の周波数特性 |
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Lch実特性 |
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| Rch実特性 | |
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#5 直方体エンクロージャMFBウーファ
強固な直方体エンクロージャに組み込んだMFB検出コイル付SEAS W11CYウーファをブリッジ型MFBドライブしカットオフ50Hzイコライザによる実験用スピーカ。SSCによりほぼフルレンジに補正している。
| リスニングポイントでの補正前の周波数特性(Lch) | |
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リスニングポイントでのSSC補正カーブと補正後の周波数特性 |
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Lch実特性 | |
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| Rch実特性 | ||
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#6 2chマルチ(MFBウーファ+トィータ)
#4のScanSpeak D30を加えた2チャネルマルチ、クロス2500Hz、スロープ120dB/octとしている。
| リスニングポイントでの補正前の周波数特性(Lch) | |
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リスニングポイントでのSSC補正カーブと補正後の周波数特性 |
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Lch実特性 |
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| Rch実特性 | |
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#7 3chマルチ(サブウーファ+MFBスコーカ+トィータ)
ScanSpeak 23W/4557Tパッシブドライブのサブウーファュを加えて3chマルチ・システム としている。クロス200Hz、2500Hz、スロープ-120dB/octとしている。
| リスニングポイントでの補正前の周波数特性(Lch) | |
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リスニングポイントでのSSC補正カーブと補正後の周波数特性 |
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Lch実特性 |
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| Rch実特性 | |
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#8 2chマルチ(ウーファ+トィータ)
ScanSpeak 23W/4557Tパッシブドライブのサブウーファュ を1500Hzまで使用、ScanSpeak D30を加えた2chマルチ・システム。クロス1500Hz、スロープ-120dB/octとしている。
| リスニングポイントでの補正前の周波数特性(Lch) | |
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リスニングポイントでのSSC補正カーブと補正後の周波数特性 |
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Lch実特性 |
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| Rch実特性 | |
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#9 オールスター (全スピーカ)
ScanSpeak 23W/4557Tパッシブドライブのサブウーファ を100Hz以下とし、2ウェイ(MF130/D30)を100Hz以上に、球形MG100HR-Sを100Hz〜10kHzに、MFB検出コイル付SEAS W11CYウーファを100Hz〜2500Hzに設定した混成マルチ・システム。 音量レベルは他と同じで、アナログ合成でフラットな特性を実現するのは困難だがSSCによりフラットになっている。
| クロスオーバ設定とリスニングポイントでの補正前の周波数特性(Lch) | |
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リスニングポイントでのSSC補正カーブと補正後の周波数特性 |
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Lch実特性 |
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| Rch実特性 | |
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ファイナル・セッティング
システムを組み上げながら視聴を繰り返して最適な配置を模索した。当初はスピーカ配置は耳の高さ で水平に並べたが、ステレオイメージが著しく異なるため最終的に左右の間隔を同じにしたインライン配置としている。200Hz以下を受け持つサブウーファは近接配置とした。
評価用ソースはボーカル、ジャズ、クラシックなど聴きなれたもので、CDからリッピングしたものや96kHz24bitと192kHz24bitスタジオ品質の原音データ などだ。
複雑な組み合わせの9種類のシステムだが、切り替えはマウス操作で 簡単に行える。Windows7標準のリモート・アシスタンスを使ってリスニング・シートに座ったままネットブック から操作を行った。曲を聴き続けながら切り替えは瞬時で行えるため厳密な相対 評価と言える。
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インライン配置の模様、ネットブックからリモート操作した |
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エピローグ
#5 直方体エンクロージャMFBウーファを除 いて全てのスピーカ・システムが20Hz〜20kHzの可聴帯域全域で±3dB以内の周波数特性を実現しています。どのスピーカで聴いても全ての楽器がちゃんと聴こえ 、曲の最後まで安心して聴き続けら れます。聴き込む事でスピーカの差がわかるようになりましたが最初に切り替えた時は同じ音に聴こえたほどです。 切り替えてしばらく聴き続けるとどのスピーカを鳴らしているのかわからなくなります。
では音は同じか?音はよく似ていますが、楽器の位置やホールトーンで感じる空間の広さのイメージがずいぶん違います。近接配置してはいますが距離からくるのか楽器位置が異なりますし奥行き感など異なります。パッシブドライブはスピーカユニットの個性が感じられます。
小音量に限りますが、球形MFBシングルコーンがステレオイメージの再現が 自然で、そこで演奏しているような現実感があります。ボーカルとベースが何もない空間に立体的に浮かぶようで、音の余韻がきれいに広がりH/Wの存在を忘れて しまうほどです。細やかでかすかな響きの違いですがMFBドライブは共通してパッシブドライブとは一線を画しているかのようです。
同じ曲が違う音で聞こえるスピーカへの不満を解消する道をようやく見つけることができた気がします。1970年代にこのシステムがあれば当時全盛だったレコードを心ゆくまで楽しめたにちがいありません。これから更に進むべき道が、目指す新たな水平が見えたような気がします。
本年もよろしくお願いします。
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