2011'03/10
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ウーファ
SCAN SPEAK製23W4557T型サブウーファを入念な定在波対策を施した27cmx27cmx32cmの密閉型エンクロージャに組み込んでいる。最低共振周波数は41Hz、高域共振は7kHzで 、1kHzまでのひずみ率は低いものの最低共振周波数近辺と高域共振周波数の1/2、1/3の周波数近傍では激増する。 指向特性はメーカのデータによれば軸上、30度、60度が乖離をはじめる周波数は2kHzだ。
このまま1kHz以下で使えば最高のウーファだ、と、いままでは思っていたのだが・・・・・
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周波数特性・インピーダンス特性・ひずみ |
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デプロイメント
ダイナミック・スピーカの再生周波数帯域は最低共振周波数(f0)から高域共振周波数(fH)までとされる。 可聴帯域よりもかなり狭い。 口径を大きくしても最低共振周波数が20Hzを満足するものはなく、20kHzを超えるには口径は小さくせねばならない。高域の帯域拡大にメタル系やセラミック系素材のダイアフラムを採用したものは例外なく高域共振周波数におけるレベルが極端にたかく形状が鋭くて補正が困難だ。
可聴帯域を分割したマルチウェイは合理的と思えるが、それぞれのスピーカ・ユニットはほぼ例外なく同一平面のバフルに取り付けられ伝播時間が考慮されていないばかりでなく高次のネットワークと組み合わされ 合成特性が伝達関数1にならない。クロスオーバー周波数近傍の位相特性は壊滅的で 、同じソースでもスピーカシステムを替えると音は極端に変わってしまう。
合成特性が伝達関数1を満足するネットワークは-6dB/octだが、従属接続される伝送系も伝達関数1であることだ。これはウーファやトゥイータはフラットでなければならないことを意味する。クロス周波数から何オクターブフラットならよいとされる解説があるが間違いだ。シミュレーションで簡単にわかる。 ダイナミックスピーカはインピーダンス特性が示すように再生周波数帯域内であっても入力に対してダイアフラムは忠実に応答していない。
今まで、いくら望んでもフラットなウーファやトゥイータは存在しなかったが、SSCを導入することで理想的な周波数特性と位相特性が得られ、速度型MFBドライブでダイアフラムが忠実に応答し最低 周波数共振を根本的に解決することがわかっている。ウーファとしての理想を目指して特性をコントロールして、聴いてもみたい。
高域共振対策
高域共振のピークは100Hz〜1kHz平均レベルよりも18dBとSSCの補正範囲±12dB以内を超えていて補正が出来ない。1/3オクターブのグラフィックイコライザでレベル偏差 が±12dB以内になるよう補正をかけた。
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グラフィック・イコライザ補正 |
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低域共振対策
試作中のオプティマイズド・ブリッジTMMFBドライブする。補正ネットワークは音質に直結するのでDatonの10W誘導巻き線抵抗とフィルム・キャパシタのリストからチョイスし た。23W4557T型用にフィッティングした値はそれぞれ4.7Ωと20.6uF(15uFと5.6uFのパラ接続)だ。
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高域補正ネットワークによるインピーダンス特性 |
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対策結果
オプティマイズド・ブリッジTMMFBにより 、ダイアフラムを指で叩いたときのボンつく音が消え軽いダイアフラムの材質の音に生まれ変わる。押し込むとムニューッと押し返すような手ごたえがありきちんと制動 されていることが分かる。周波数特性上も最低共振周波数が消失し、また、グラフィックイコライザにより1kHz以上が±12dB以内に収まっている。
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押し込むとムニューッと押し返してくる リアクションがある |
SSCスピーカ測定
SSCによるスピーカ特性の測定結果だ。15kHz以上はレスポンスが無く深いダイアフラム形状による干渉により大きく乱れている。
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SSCコレクション範囲
赤が左ch、緑が右chの測定カーブだ。傾向は似ていてもユニットでピークの周波数や形状がずいぶん異なっていることがわかる。低域は可聴帯域下限の20Hz、高域は 高域共振の2倍、レスポンスがある14kHzまでをコレクション範囲とした。
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SSCスピーカ補正
高域共振7kHzのピークが完全に制御され、20Hzから14kHzまでサブウーファとしては画期的と言える理想的なフラットな特性が得られている。 かつて誰もみたことがない素晴らしい特性だ。Never seen before in the world!!
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Myspeakerでも検証してみた。20Hzから14kHzまでフラットだ。完璧といえるほどだ。すごい!
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エピローグ
SSCでリスニング・ポイントで±3dB以内に補正して全帯域のシングルコーンとして聴いてみた。「SSC聴き比べ」の予備実験で は同じウーファ・ユニットをパッシブドライブとSSCの組み合わせで聴いてみたのだが、鋭い高域共振が補正しきれず、この周波数にスペクトラムがあるソースに強い癖が付きまい、女性ボーカルの例では金属的で細身にな る。微小レベルの再生が駄目で、ホールトーンの響きや弱音部が再現できずエントリーを断念した経緯がある。
今回の試みでいままで払しょくできなかったリード・インスツルメントのハーモニクスが改善され、女性ボーカルが人間の声の質になるばかりでなく、 微小領域のリニアリティが改善され弱音部が再生できるようになった。消え入るようなホールに響くフルートの余韻まで再現でき、全体にひずみ感が少なく滑らかだ。ベースやコントラバスマリンバ、グランカッサ、パイプオルガンなどファンダメンタル の再現は余裕と力が感じられ「さすがウーファ」と納得できます。
どんな曲でもえり好みがなく、聴き続けていると、このままでいいんではないかと思えるほどです。この手法が1970年代にあったら、高域の強烈な癖が魅力だったかつての名器たちもさぞや端正な響きを聴かせてくれたにちがいないと思ってしまいます。 さらにひずみを下げ聴こえ方を改善するためエンクロージャの形状や材質、カウンターウェイトの装着を吟味してブラッシュアップを検討しています。
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Lchリスニング・ポイントの周波数特性 |
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Rchリスニング・ポイントの周波数特性 |
だ |