2011'06/07
同じCDを再生してもスピーカーが違うと音が違う。グランドピアノがアップライトになっては困る。問題外だ。
演奏やホールの響き、楽器本来の音や細かなニュアンスなど分からないではないか。スピーカを聞きたいのではない。音楽そのものを聞きたいのだ。
スピーカ・システムのどこが問題なのか?SSCでどこまで鳴るのか、聴いてみたい。
------スピーカ・システムの問題点-----
●±10dBもの偏差
市販のバスレフの小型2wayのスピーカの測定例だ。マイクの位置を数cmかえると周波数特性はガラガラ変わる。マルチウェイの宿命だ。ウーファとトィータの間でベスト位置を探る。
マルチウェイを使うなら耳の高さは絶対に変えてはいけない。(^^);/マニアの鉄則だ。この点はシングル・コーンや同軸が有利だが別の問題がある。
偏差±10dB以内の再生周波数は50Hzから20kHzだ。ところで偏差±10dBはトータルで20dBの差だ。パワー比では何と100倍だ。明らかに違いすぎだ。
伝送系でフラットと言えば±3dB以内が常識だ。良心的なメーカーは±3dB以内でスペックしている。
スピーカだけ、何でもOKなスペックを一体誰が推奨したのか?。
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測定マイク位置 |
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●高次ネットワーク
高域のインピーダンス特性カーブから-12dB/oct以上のネットワークが採用されているの分かる。-6dB/oct以外のネットワークは伝達関数が1ではないためソースの情報が失われてしまう。
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従来のスピーカー : 周波数/インピーダンス特性 |
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●バスレフ・エンクロージャ
低域のインピーダンス特性からポート共振周波数は63Hだ。ポートの第1反共振周波数38Hzでは打ち消しあう。バスレフは十分な吸音材を入れられないのでエンクロージャ内部の定在波700Hzで周波数特性に致命的な不連続が発生している。
ポート共振周波数と同じ63Hzのサイン波ステップ応答だ。第1波の周期が短く、ピッチが高くなっている。音程も何もあったものではない。なかなか定常振幅に達しないこともわかる。バスレフは低音楽器のアタックはおろか音程すら再生できないのだ。
圧倒的といえるほど採用例が多いバスレフ型の、これが真実だ。
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従来のスピーカー : ポート周波数・サイン波・ステップ・レスポンス |
●スピーカ・ユニットを同一平面にマウント
同一平面に取り付けらたトィータの成分はウーファより先に到達する。1kHzの先頭に小さなトィータからの成分がみえる。周波数が高くなるとこの成分は大きくなるが時間が揃うことはない。
全体にガチャガチャとうるさく、シンバル、トライアングルなどのパーカッション、弦楽器のピッチカートやピアノのアタックがにじむ。楽器特有の高品位で静かなたたずまいは得られない。
他のこともわかる。前述のポート共振は500Hz以下にみられ、ポート共振周波数の尾を引く。特に60Hz以下は信号と無関係なポート周波数成分しかない。2kHzを超えるとトィータのダイアフラムの分割共振が長く
つきまとう。ファンダメンタルやハーモニクスの音域と重なれば固有の癖が付きまとい別の音に響きになってしまう。
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従来のスピーカー : 単発サイン波 |
青のソリッドラインがSSCによる位相特性だ。低域ではポート共振により急激に位相が進む。エンクロージャの定在波周波数でも位相回転が見られる。5kHz以上は位相が反転していて不連続なことがわかる。 ウーファとトィータなどスピーカユニットは同一平面にマウントしてはいけない。
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従来のスピーカー例 : SSCによる測定:周波数特性(青)位相特性(赤) |
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●フラットなアンプによるドライブ
フラットなアンプでドライブした結果が上記の諸問題だ。従来のドライブ手法ではいけないのがわかる。アンプをとっかえひっかえしてもセッティングを変えても直るはずがない。
伝送系としての真空管アンプは安定度や周波数特性の確認に方形波を示すのが一般的だ。 スピーカ・システムも伝送系だ。可聴帯域の中心である周波数640Hzの方形波だ。何これ?状態だ。 問題が山積された結果と言える。
なんでこんなのを売っているんだ?と言ってはいけない。 こんなんしか売っていないのだ。スピーカを交換しても本質的な問題は変わらない。 大枚はたいたって50歩100歩だ。 フラットなアンプでドライブする従来のシステム構成を踏襲する限り改善はない。これらを直さない限り音楽には近づけない。
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従来のスピーカー : 640Hz方形波、2wayスピーカ |
------SSCで鳴らす-----
○Speaker Correction
63Hz以下を改善するにはエンクロージャ を作り変える必要がある。今回はエンクロージャはそのまま、SSCの最新バージョン V2.1.0.R2で鳴らす。
このスピーカ・システムに適したパラメータ設定だ。周波数範囲45Hz〜20kHz、アッテネーションとブース トは±12dBだ。
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従来のスピーカー例 : SSC補正パラメータ |
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○周波数特性/位相特性
赤のソリッドラインは改善された周波数特性だ。エンクロージャがそのままなので50Hzと低音は欲張れないが20kHzまでは、理想的な直線といって良い素晴らしい周波数特性が得られる。 プロ規格の±3dB以内それも限りなく0に近い。ビューティフルだ!伝送系はこうでなくてはならない。
青のソリッドラインは位相特性だ。 ウーファとトィータの物理的な時間差までは埋まらないがウーファの広い帯域にわたってフラットに補正されている。改善の方向が分かるところだ。
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SSCで補正した従来のスピーカー例 |
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○立ち上がりの改善
SSCで補正した63Hzのサイン波ステップ応答だ。第1波目の振幅が大幅に改善され第2波目で定常振幅に達している。ピッチずれさえぐんと軽減される。 音が違う!これは、すごい!素晴らしい!。
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従来のスピーカー例 : 640Hz方形波、2wayスピーカ |
○Room Correction
スピーカ近傍で50Hz〜20kHzと条件つきだが、将来にわたってもこれ以上は無いといえる最良の周波数特性を得ることができている。また多くの項目で画期的といえる改善が得られた。
伝送系の最後のパスがスピーカからリスニングチェアまでの音響特性だ。ここがプアでは何のための改善か意味がない。SSCで、ここも最高の純度が得られるパラメータ を設定する。周波数範囲30Hz〜20kHz、アッテネーションとブーストは最大の±12dBとした。
部屋の特性を加味してもこのスピーカでは20Hz再生は難しい。気持ち狭いが30Hz〜20kHzまで±3dB以内だ。
フラットなスピーカでリスニングチェア位置の特性を計れば、オーディオルームの特性を計ったといえる。いままで困難だった領域だ。古株は70年代後半から80年代前半にかけてのグライコブームを思いえがいて 「あるぞ」と言うかも知れない。自分もはまった一人だ。SSCは周波数分解能やレベル精度がダンチにちがう。全く別物だ。グライコ補正ではサイン波ステップの改善効果は全くない。やってみればわかる。
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SSC ROOM 補正パラメータ |
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リスニング・ポイントの周波数特性 上:Lch 下:Rch |
エピローグ
左右のスピーカにまとわりついてガチャガチャと汚くうるさかった音が、SSCで鳴らした瞬間、スピーカーの間に楽器がきれいに並ぶ。個々の楽器の一つ一つが立体であるかのように浮かび上がる。演奏会場の雰囲気が伝わってくるようだ。
ボーカルにまとわりつくスピーカのいやな癖が無くなり自然な自然な人間の声に生まれ変わる。薄くはなるが16フィートのパイプオルガンのファンダメンタルもちゃんと再生する。今までは感じられなかった音楽の官能的なやわらかい響きや、美しく 消え入るような余韻のホールトーンまで再生してくれる。
同じソースなのに今まで聞けなかった音まで入っているんだと新しい発見の連続がうれしい。音楽ジャンルを選ばないし、いつまでも聞いていたくなるピュアな響きだ。
スピーカシステムに手を加えて改善すれば、もっともっとソースの本当に近づけるにちがいない・・・・・・・。性分だな(^^);/