2011' 11/26
プロローグ
マルチ・ウェイ/マルチ・チャンネルは低域から高域まで周波数レンジが広がり余裕が感じられます。ところが、ユニットを選んでエンクロージャを吟味し、タイムアライメントを揃えネットワークを調整 しても、楽器本来の質感が得られず演奏が不明瞭になってしまいます。楽器とは異なる音色や演奏イメージを阻害する原因は何なのか?。
ScanSpeaks D3004/6600-00
内外での評価が高いトィータ・ユニットです。評価用に設置の自由度が高いスタンドアロンで扱えるようエンクロージャを製作しました。ラッカー多層塗のピアノブラック仕上げとしました。内部配線材は6Nケーブルです(^^)。
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D3004/6600-00 トィータ |
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特性測定
軸上100mmに測定マイクECM8000を正対しての測定です。測定システムはオーディオインターフェースにUA101を44.1kHzサンプリングに設定し、MySpeakerV1.24をWindows7/64bit HomePremium上で構成しています。
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測定の模様 |
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周波数特性/インピーダンス特性
トィータユニットのフリンジ径と同じバフルサイズにした影響で2kHz以下に若干のアベレーション(凸凹)が見られますがワイドレンジで高域のピークも穏やかで優秀な特性です。2kHz以上が守備範囲といったところでしょうか?最低共振周波数もメーカデータとおりといえます。
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D3004/6600-00周波数特性/インピーダンス特性 |
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ひずみ率
2kHz以上では2次、3次歪とも実に0.1%と極めて低ひずみです。これ以上望むのが難しいほど最上級といえる素晴らしい特性です。
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D3004/6600-00ひずみ率 |
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ダイアフラム共振
ダイナミックスピーカのインピーダンスは最低共振周波数で上昇します。ダイアフラム共振をコントロールして低域の周波数特性はフラットに仕上げていても、ダイアフラムは入力信号に忠実に動いているとはいえない領域です。最低共振周波数では2次歪が激増してい ることでわかります。周波数特性にピークを示す高域共振周波数についても同様で、2次ひずみと3次ひずみがそれぞれ1/2と1/3の周波数 からひずみが激増していることがわかります。
これらダイアフラム共振は近傍の周波数に成分がある楽音にスピーカ固有の音が付きまとう原因で音質に与える影響は深刻です。
サインショット
いろんな周波数における1サイクルだけのサイン波で、その周波数のダイアフラムの応答、立ち上がり の模様や、振動の収まり具合がわかります。スピーカからの音圧が同じ応答をしめしてくれればパーフェクトなのですが・・・・
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入力信号・サインショット |
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入力信号と相似といえそうなのは7kHz以上とわかります。それ以下は周期も短く異なる形になっています。これはアタックの瞬間、信号とは異質のスピーカ固有の音になっていること の表れです。そればかりか、信号が止んでも10数kHzの成分が尾を引くいわゆる鳴きが続くことがわかります。
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D30音響出力・サインショット |
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500Hzバースト
オシロスコープによる最低共振周波数における500Hzの4波バースト波による分析で 短時間の音量の変化が分かります。上が入力信号波形で下がD30からの応答波形です。
1サイクル目は周期が短くなっていてサインショット分析と同様で、2〜3サイクル目の定常振幅より小さいことが分かります。 音が出たアタックの瞬間、音程が異なるばかりか音量さえ正確でないことが分かります。そればかりかではありません。信号が止んでもこの周波数の成分が続いていることがわかります。
これらは入力信号とは異なるダイアフラムの振動そのものに他なりません。ストリングスのガット弦が、まるでスチール弦のように聴こえたり、木質の管楽器にブラスの輝きを与えたりと音色そのものを変え楽器本来の音色を汚す元凶と言えます。
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バースト波応答 |
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エピローグ
マルチ・ウェイ/マルチ・チャネルはユニットの数だけ ダイアフラム固有な音が加わってしまいます。 音が出たアタックの瞬間左右のスピーカシステムからユニットの数だけ別々の音が出て音が止んでも固有の音が残ります。定位はぼやけ、楽器の数さえ不明瞭になってしまいます。
「軽いダイアフラムはトランジェントが良い」というのは明らかに間違いであるとわかります。ダイナミックスピーカは方式やダイアフラムの口径、その等価質量に関係なくトィータだってウーファだって信号に忠実に動いているとは言えないことが分かります。
このダイナミック・スピーカ固有の問題は従来のフラットなアンプでドライブする方法を踏襲する限り解決しません。アタックの瞬間、1サイクル目から定常振幅に達して、音が止んだらダイアフラムがぴたっと止まらない限り音楽には迫れません。・・・さて、どうしたら良いものか?